服狂いの好きなもの研究所

ギミックと再構築で読み解く、ファッション考察ブログ

Porter Classicというジャンル——古き良き日本が服になる

Porter Classicというジャンル——古き良き日本が服になる

このブランドのジャンルを一言で表すのは難しい。アメカジでも、モードでも、ワークでもない。ミリタリーでもなく、スポーツでもない。「ポータークラシック」と答えるしかないような、独自の文脈と存在感を持つブランドだ。

二次流通でも高値を維持し続けているという事実が、このブランドの本質を示している。一部のコアなマニアだけが買い支えているのではなく、幅広い層が「手放したくない」と思い続けているということだ。それは服としての完成度と、着込むほどに増す風合いへの信頼から来ている。

日本の伝統技術を「掘り起こす」という行為

Porter Classicは吉田カバン創業家出身の吉田克幸が2007年に独立し、息子の吉田玲雄とともに設立したブランドだ。コンセプトは「メイド・イン・ジャパン」と「世界基準のスタンダード」——この2つの言葉が示すように、日本の伝統技術と国際的な美意識を交差させることがブランドの核にある。

刺し子、かすり、道着——Porter Classicが引用する素材と技法は、いずれも日本で伝統的に継承されてきた服飾文化から来ている。特に刺し子は吉田克幸氏が「最後のライフワーク」と呼ぶほど深く向き合ってきたもので、5年の歳月をかけてオリジナルの刺し子生地を開発した。「物を大切にする心」から生まれた刺し子という技法——ほつれた部分に布を重ねて補強し、長く使い続けるという思想が、Porter Classicの「孫の代まで愛される商品を追求する」というブランド哲学と完全に一致している。

Porter Classicのアイテムを着ると、どこか懐かしい和装の雰囲気を感じるという感覚は、こうした日本の伝統技術と思想がアイテムの中に宿っているからだ。それは意図してデザインされた「和風」ではなく、素材と哲学のレベルで日本が服に染み込んでいる結果だ。

01 / ビート・スカル・イン・ザ・レイン シャツ——文化の衝突が生む独自性

「ビート・スカル・イン・ザ・レイン」というタイトルが示すように、Porter Classicはジャズ・ビート文化への敬意も深く持つ。日本の職人技術とアメリカのサブカルチャーの衝突——この化学反応がPorter Classicの独自の世界観を形成している。スカルというモチーフが和の布地に乗ることで生まれる違和感と調和が、このブランドの面白さだ。

02 / ROLL UP GINGHAM CHECK SHIRT——普遍的なものを最高の素材で作る

ギンガムチェックというベーシックの極みのような柄を、Porter Classicが手がけると何が変わるか。素材と縫製だ。シーアイランドコットンをはじめとする上質な素材を惜しみなく使い、日本の職人が縫製する——その差は着た瞬間に分かる。ロールアップというディテールが、シャツとしての実用性とポータークラシックらしいゆとりのシルエットを両立させている。

03 / POPLIN BEBOP PANTS BROWN——「ビバップ」という名のパンツ

BEBOPとはジャズの革新的なスタイルを指す言葉だ。Porter Classicがパンツにこの名を冠するのは、ジャズ・ビート文化への深い敬愛の表れだ。ポプリンという素材は軽量で張りがあり、ブラウンという色が絶妙な土っぽさと品格を両立させる。ゆったりとしたシルエットながらテーパードが効いており、日本の職人が縫製したパンツ特有の「落ち方」が美しい。Porter Classicのパンツを一本持つと、他のパンツとの質の差が体で分かる。

二次流通でも価値を保つ理由

Porter Classicが二次流通でも高値を維持し続けている理由は、服としての完成度と「着込むほどに良くなる」という性質にある。刺し子は使うほどほつれが出て修理を重ね、KENDO素材はインディゴが経年変化し、ポプリンは洗いを重ねることで柔らかさが増す。「毎日のように着てもらって、ほつれたら直してまたいい味が出てくる」という吉田克幸氏の言葉通り、時間とともに価値が増す服だ。

古き良き日本を思い出させる——それは懐古趣味ではなく、物を大切に長く使い続けるという日本の本来の文化が服に宿っているからだ。Porter Classicというジャンルは、そこに成立している。

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